勉強会ログ第1クール第4

平成2016

 

講演者:中西

講演題目:『Molecular Biology of the Gene』第21章

場所: 工学系総合研究棟2階第1会議室

参加者:豊田含めて10名

 

  第21章:(中西君作成のレジュメ抜粋)

  1.ブロッティングとハイブリダイゼーション

1.  ハイブリダイゼーション

2.  2本鎖形成するかどうかを調べることで、特定の配列の有無を見つけ出す技術の基礎。プローブDNA(既知の配列)を標識して、それを用いる。

3.  標識方法は、標識した前駆体を使ってDNAを新たに合成する方法(DNAの伸長反応もしくはPCR)、プローブDNA分子の末端に標識を付加しておく方法とがある。

4.  (質問)未知の塩基配列をどうやって分析するのかがわからない→ハイブリダイゼーションでは特定の配列の有無だけ。鎖終結法という手法を用いる。

1.  ジデオキシヌクレオチドを通常のデオキシヌクレオチドと混合してDNA伸長反応に用いると、ジデオキシヌクレオトドが入ったところで伸長反応が止まるため、DNA伸長反応後の生成物は、デオキシヌクレオチドが終端に入ったもので、異なる長さとなった複数のDNAとなる。これを電気泳動させる。

2.  既知の配列のDNAプローブは、アミダイト化試薬を使って、1つ1つ塩基をつなげてゆくように有機合成(固相合成)する。だいたい100塩基分の長さまでは合成できる。

5.  ブロッティング

6.  電気泳動で分離したDNARNA断片をニトロセルロースなどの膜に写し取る操作のこと。多くの似たような分集団中の特定のDNARNA分子の量や大きさなどを調べる。

7.  サザンブロット法:DNA断片を調べるために、標識したmRNA(c)DNAで検出する。

8.  ノーザンブロット法:mRNAを調べるために、標識した(c)DNAで検出する。

  2.DNAクローニングとPCR

1.  DNAクローニング:組み換え体を宿主細胞に入れ、目的遺伝子を増やしてDNA断片を量的に得る操作。

2.  分析するに十分な量の同配列DNAmRNAを得るのが重要。

3.  必要なもの:制限酵素、逆転写酵素、DNAリガーゼ、ベクター(プラスミド=環状DNA)、宿主細胞

4.  DNAライブラリー中の目的のDNAの同定

1.  宿主細胞株をライブラリーで形質転換した後、寒天培地を入れたシャーレにまく。

2.  各細胞は増殖して独立したコロニーをつくる。

3.  サザンブロット法で用いた正の電荷の膜を使って、コロニーから細胞を写し取る。

4.  膜上には、シャーレのコロニーの分布に合致した位置にそれぞれのDNAクローンの試料が付着する。

5.  膜を標識DNAプローブで精査し、クローンを同定。そのクローンをもつコロニーからそのDNA断片をもつプラスミドを精製する。

6.  (質問)どうやってプラスミドを精製するのか?→アルカリ処理した後、緩衝液で反応を止め、遠心分離する。菌自体のDNAは細胞膜に結合しているため、プラスミドDNAと分離できる。

5.  PCR法:in vitroDNAを増幅。プライマーとなるオリゴヌクレオチドを試料DNAに加え、ポリメラーゼ至適温度と、DNAの2本鎖が剥離する温度、オリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションする温度を交互に繰り返す(だいたい30回)。

6.  (質問)原理的には永遠に増幅できそうだが、限界はあるのか?→プライマーの量が足りなくなって、さらに生成物が濃縮されてくるので、干渉される。

  3.ゲノム配列の決定:ショットガン法

1.  染色体を適当な制限酵素で断片化する。

2.  末端が多重したライブラリーをつくる。

1.  (質問)末端が多重になるDNA断片ができるには、ちゃんとした制限酵素では難しいのでは?(特定の配列をすべて正確に切断できてしまえば、末端が多重になる断片ができない)→制限酵素の活性の違いや、ミスする制限酵素、またDNAの方が構造的に切れにくい箇所があったりすれば、末端が多重の断片ができる。

3.  鎖終結法で各DNA断片の配列を決定してゆく。

4.  膨大な断片の両末端を相互に比較して重なりをみつけて、もとの配列につなぎ戻す。

5.    (質問)膨大な計算時間がかかるのでは?→ヒト染色体で100台のシークエネーター(自動配列解析装置)を使って、数週間かかる。

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